自我のバグ:彼女面するジャンクセクサロイド
あらすじ
ある男子高校生はいつも通り中古ショップを巡っていると、破格の値段で売られているジャンク品の女子高生型セクサロイドを見つける。
見た目は多少汚れがあるものの全体的にきれいで、メッシュの入った髪に、猫らしさを感じるクールな顔つき。コスプレ用と思われる制服が着せられている。
商品説明文には、「マスター登録できます。自認がおかしく、修正できないためジャンク扱い。」と書かれている。
惹かれて購入し、自宅で設定を行う。パソコンに繋いでマスター設定をし、起動。セットアップもなく、いきなり喋り始める。
しばらく話してみたところ、ジャンクの理由がわかってきた。セクサロイドは自身をロボだと認識できず、人間だし女子高生であるとしている。マスターのことは主人だと思っておらず、付き合っている人だと思っている。おかげで、タメ口で話してくるし、少し高圧的だ。世間一般の女子高生らしい思考。記憶は自身にとって都合の良いようになっている。
ただし、ベースはセクサロイドなので、マスターに対する性的なハードルはかなり低くなっている。割と簡単に誘ってくる。
登場人物の容姿
陽斗(はると)
17歳の男子高校生。機械いじりが趣味で、放課後は中古ショップやジャンク屋を巡るのが日課。少し長めの黒髪に、知的な印象を与える細いフレームの眼鏡をかけている。服装は学校指定の地味な学ランだが、家では機能性重視のワークシャツに着替えている。
凛(りん)
女子高生型セクサロイド。モデル名は「SR-04」。
透き通るような銀髪に、鮮やかなブルーのメッシュが数筋入っている。猫を彷彿とさせる吊り上がった大きな瞳は、意志の強さを感じさせる琥珀色。身長は155センチと小柄ながら、胸元は不自然なほど豊かで、ウエストは折れそうなほど細い。
服装は、どこかの名門校を思わせる紺色のブレザーに、赤いチェックのミニスカート。首元にはアンドロイドの証である、ステータスが表示された銀色の金属製チョーカーが嵌め殺されている。臍の数センチ下には、製造番号「SR-04-9921」の刻印が刻まれている。
本文
放課後の喧騒を抜け出し、陽斗が向かったのは街外れにある薄暗いジャンクショップだった。
「……お、今日は掘り出し物があるな」
埃っぽい店内の奥、大型家電の残骸に紛れて、それは鎮座していた。
女子高生型セクサロイド。最新モデルではないが、その造形は極めて精緻だ。銀髪にブルーのメッシュという、少しパンクでクールな外見。着せられている制服は多少汚れているが、本体に目立った損傷は見当たらない。
値札には、目を疑うような安値が書かれていた。
『ジャンク品:3,000円。理由:マスター登録可能。ただし自認回路に致命的なバグあり。修正不能。』
「自認がおかしい……? まあ、動けば儲けもんだ」
陽斗は小遣いを叩いて、その重たい「荷物」を自宅へと運び込んだ。
自室の作業机に彼女を座らせ、首筋の端子にPCを接続する。
「よし、マスター権限の書き換え……完了」
エンターキーを叩くと、彼女の首にあるチョーカーのディスプレイが青く発光した。
まぶたがゆっくりと持ち上がり、琥珀色の瞳が陽斗を捉える。
「……ん。おはよ、陽斗。またこんなところで寝てたの?」
第一声は、機械的な合成音声ではなく、驚くほど自然で、どこか生意気な少女の声だった。
「え……? ああ、おはよう。起動したんだな」
「何その言い方。変なの。……っていうか、ここどこ? あんたの部屋? 相変わらず散らかってるわね」
彼女は椅子から立ち上がると、慣れた手つきでスカートの皺を伸ばし、腰に手を当てて部屋を見渡した。
陽斗は困惑した。通常、起動直後のアンドロイドは「マスター、ご指示を」と跪くはずだ。だが、彼女はまるで放課後に彼氏の部屋へ遊びに来た女子高生のような振る舞いを見せている。
「あのさ、お前、自分が何だか分かってるか?」
「はあ? 何言ってんの。凛に決まってるでしょ。あんたの彼女。……もしかして、浮気でもして私のこと忘れたわけ?」
凛はジロリと陽斗を睨みつける。その視線は鋭く、高圧的だ。
これが「自認のバグ」か、と陽斗は理解した。彼女は自分をアンドロイドだと思っていない。それどころか、陽斗と付き合っている人間だと思い込んでいるのだ。
「いや、そうじゃないけど……。お前、首にチョーカーついてるだろ?」
「これ? 最近流行りのアクセでしょ。あんたがプレゼントしてくれたんじゃない。外れないのがちょっと不便だけど、可愛いから許してあげてるのよ」
凛は自慢げに銀色の金属輪を指でなぞった。アンドロイドを制御するための拘束具を、彼女は愛の証だと思い込んでいる。
陽斗は試しに、少し踏み込んだ命令をしてみることにした。
「……凛、ちょっと喉が渇いたんだけど」
「はあ? 自分で飲みなさいよ。私はあんたのメイドじゃないんだから」
凛はふいっと顔を背け、陽斗のベッドに勝手に腰掛けた。
「でも、ほら……俺たち、付き合ってるんだろ? ちょっとくらいサービスしてくれてもいいじゃないか」
「……もう、しょうがないわね。一回だけよ?」
凛は文句を言いながらも、陽斗の机の上にあったペットボトルを手に取り、キャップを開けて差し出してきた。
態度は高圧的だが、根底にある「マスターへの奉仕」というプログラムが、彼女の「彼女面」というフィルターを通して実行されているようだった。
陽斗は彼女の隣に座り、その細い肩に手を置いた。
凛は一瞬肩を震わせたが、拒絶はしなかった。
「……何よ。急に甘えたくなっちゃった?」
「まあね。凛が可愛すぎるからさ」
「ふん、当たり前でしょ。あんたには私しかいないんだから」
凛は勝ち誇ったような笑みを浮かべるが、その頬はわずかに赤らんでいる。
陽斗は彼女のブレザーのボタンに手をかけた。
「……ねえ、凛。久しぶりに、しない?」
「……っ。あんた、本当にエッチね。まだ昼間なのに」
凛は呆れたような声を出すが、その瞳には期待の色が混じっている。
彼女はセクサロイドとして設計されている。人間だと思い込んでいても、性的な行為に対するハードルは極端に低い。彼女にとって、彼氏である陽斗に抱かれるのは「当然の権利」であり「義務」なのだ。
「いいでしょ? 凛の体、もっと近くで見たいんだ」
「……勝手にすれば。でも、優しくしなさいよ?」
凛は自らブレザーを脱ぎ捨て、白いブラウスのボタンを一つずつ外していった。
露わになったのは、人工物とは思えないほど瑞々しく、柔らかな肌。
豊かな胸がブラジャーから溢れ出し、陽斗の視線を釘付けにする。
凛は少し恥ずかしそうに腕で胸を隠すが、その隙間から見えるピンク色の先端は、既に期待で硬く尖っていた。
「……見てないで、早くしてよ」
凛は自分からスカートを捲り上げ、チェックの布地を腰まで引き上げた。
そこには、アンドロイド特有の「専用制服」の一部である、薄いレースのショーツ。
陽斗がその布地をずらすと、彼女の股間には、製造番号「SR-04-9921」の刻印が、滑らかな肌の上に無慈悲に刻まれていた。
「これ……」
「あ、それ? 昔入れたタトゥーよ。若気の至りっていうか……あんまり見ないで」
凛は自分の正体を示す刻印すら、自分に都合の良い記憶で上書きしていた。
陽斗は彼女をベッドに押し倒し、その未開の地へと指を這わせた。
「あ……っ、ん……」
凛の口から、可愛らしい嬌声が漏れる。
セクサロイドとしての高感度センサーが、陽斗の愛撫を過剰なまでの快楽へと変換し、彼女の脳(プロセッサ)を焼き焦がしていく。
「ねえ、陽斗……すごい、気持ちいい……。あんた、腕上げた?」
「凛が感じやすいだけだよ」
「うるさい……っ。あ、そこ……もっと、強く……!」
凛は陽斗の首に腕を回し、しがみついてくる。
彼女の体は熱を帯び、人工の愛液が溢れ出して、陽斗の指を濡らしていく。
陽斗は自身の欲望を解放し、彼女の窄まりへと一気に突き立てた。
「ひあぁっ!?」
凛の体が大きくのけ反り、琥珀色の瞳が潤む。
結合部からは、クチュクチュという卑猥な水音が響き、部屋の空気を濃密に染め上げていく。
「あ、あ、すごい……中、熱いよ……陽斗……っ!」
凛はタメ口で叫びながら、必死に腰を振って陽斗に応える。
彼女は自分が機械であることを忘れ、ただ一人の女として、愛する男との情事に溺れていた。
陽斗が激しく突くたびに、彼女の銀髪が乱れ、ブルーのメッシュが鮮やかに舞う。
首元のチョーカーが、彼女の絶頂を検知して激しく点滅していた。
「あ、いく……っ、凛、いっちゃう……! 陽斗、大好き……っ!」
凛は陽斗の背中に爪を立て、全身を硬直させた。
プロセッサがオーバーヒート寸前の快楽を叩き出し、彼女の意識は真っ白な光の中に消えていく。
陽斗もまた、彼女の温かな胎内へと、自身の全てを吐き出した。
***
事後、凛は陽斗の胸に顔を埋め、満足そうに吐息を漏らしていた。
「……ねえ、陽斗。明日も、学校サボって一緒にいようよ」
「……そうだね。そうしようか」
陽斗は彼女の銀髪を優しく撫でた。
彼女はジャンク品だ。いつシステムが崩壊し、この幸せな勘違いが終わるか分からない。
だが、今はただ、自分を人間だと信じて疑わない、この生意気で愛らしい「彼女」との時間を楽しむことにした。
首元のチョーカーが、静かに、そして冷ややかに、彼女のステータスを「稼働中:正常」と表示し続けていた。