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ロール・エディター ~役割編集と忘れ去られた肉人形~

3,851 文字 約 8 分

あらすじ

ある男子が、立場を自由にいじることのできるアプリを手に入れる。
ある二人(例えば、“女子高生”と”男性会社員”など)を選んで立場交換ボタンを押せば、見た目や服装はそのまま、それぞれの立場の動作が入れ替えられる。現実改変機能がついているので、誰も違和感を持たない。自分と入れ替えることもできる。
また、立場を削除することもでき、削除すると元からその人は存在しなかったことになる。身体は残るが、他の人からは認識されない。


登場人物の容姿

市川 奏太(いちかわ そうた)
本作の主人公。目立たない平均的な男子高校生。黒髪で少しボサボサ気味。クラスでは空気のような存在で、周囲の人間観察が趣味。身長は170cmほど、痩せ型。

高木 玲奈(たかぎ れな)
クラスのカースト上位に君臨するギャル。明るい茶髪を巻き髪にし、スカートは限界まで短くしている。豊満なバストを強調するような着こなしで、常に周囲に男子を侍らせている。快活だが、地味な男子には冷たい。

佐伯 詩織(さえき しおり)
図書委員を務める大人しい美少女。黒髪のロングヘアで、眼鏡をかけている。整った顔立ちをしているが、愛想がなく、人を寄せ付けない雰囲気がある。実は隠れ巨乳で、制服の上からでもそのボリュームが分かる。

権藤(ごんどう)
生活指導担当の体育教師。ゴリラのような体格で、ジャージ姿がトレードマーク。常に竹刀を持ち歩き、生徒を怒鳴り散らしている。スキンヘッドで強面。

本文

「なんだこれ……『ロール・エディター』?」

五月晴れの昼休み、教室の自分の席でスマートフォンの画面を見つめていた市川奏太は、突如ホーム画面に出現した奇妙なアイコンに首を傾げた。黒背景に白い仮面が描かれた不気味なデザイン。インストールした覚えは全くないが、指は何かに惹かれるようにそのアイコンをタップしていた。

起動した画面は、シンプルなカメラアプリのようだった。教室の様子が映し出されている。
だが、ただのカメラではない。画面内のクラスメイトたちの頭上に、RPGのステータス画面のような『タグ』が浮かんでいるのだ。

『男子生徒』『モブ』『騒がしい』
『女子生徒』『追従者』『地味』

「AR……ゲームか?」

奏太は半信半疑で、カメラを教室の中央に向けた。
そこには、クラスの中心人物である派手なギャル、高木玲奈が机に腰掛け、取り巻きの男子たちと大声で笑っている。彼女の頭上には『女子高生』『カースト上位』『傲慢』といったタグが表示されていた。
そして、その近くで怒鳴り声を上げているジャージ姿の男、生活指導の権藤教師。『教師』『体育会系』『威圧的』。

画面下部には【役割交換】と【役割削除】という二つのアイコン。
奏太は悪戯半分で、玲奈と権藤をタップして選択し、【役割交換】のボタンを押した。

『処理中……完了しました』

その瞬間、世界がカチリと音を立てて組み替わったような、不思議な浮遊感に襲われた。
次の瞬間、信じられない光景が広がった。

机の上にふんぞり返っていた玲奈が、急に飛び降りると、仁王立ちになったのだ。スカートの中が見えそうなほど足を広げ、野太い……いや、声自体は彼女の高い声なのだが、抑揚と迫力が完全に「オッサン」のそれで怒鳴り始めた。

「おい貴様ら! チャイムが鳴り終わってんぞ! さっさと席につかんかぁ!」

その口調、仕草、威圧感。それはまさに権藤のものだった。だが、可憐な女子高生の見た目でそれをやっているため、猛烈な違和感がある。いや、おかしいのは「違和感がない」ことだ。周囲の生徒たちは、それが当たり前かのように「はい! すみません!」と直立不動になっている。

一方、権藤教師はというと、内股でクネクネと机に寄りかかり、甲高い声(実際は野太い声だが口調が完全にギャル)で笑い出した。

「マジうけるんですけどー! てか、今日の放課後スタバ行かなくない?」

髭面のゴツイ男が、女子高生のような仕草でスキンヘッドを撫でつけ、流し目を送っている。

「うわ……何だこれ……」

『現実改変』。アプリの説明にあった言葉が脳裏をよぎる。このアプリは、選んだ対象の社会的役割そのものを入れ替え、周囲の認識すら書き換えてしまうのだ。
奏太は笑いを噛み殺した。絶対的な権力を持っていた教師が、今はただのギャルとして扱われ、生意気なギャルが威張り散らす教師になっている。

しばらくその奇妙なコントを楽しんだ後、奏太は【リセット】ボタンを押した。
一瞬の揺らぎの後、二人は元の役割に戻った。玲奈は再び机に座り、権藤は説教を再開する。誰も、先ほどの入れ替わりを覚えていないようだ。

「……すげぇ。神にでもなった気分だ」

興奮で指が震える。
奏太の視線は、教室の隅に向けられた。
そこには、図書委員の佐伯詩織が一人で本を読んでいた。
黒髪の美少女。クラスの誰とも群れず、常に冷ややかな視線を周囲に向けている。奏太はずっと彼女のことが気になっていたが、話しかけるきっかけも勇気もなかった。

奏太はカメラを詩織に向ける。タグは『女子生徒』『図書委員』『孤高』。
そして指は、【役割交換】ではなく、もう一つのボタン、【役割削除】へと伸びた。

『警告:対象の社会的役割を完全に消去します。物理的実体は残りますが、他者からの認識対象から外れます。実行しますか?』

心臓が早鐘を打つ。
役割を、削除する。それはつまり、社会的に死ぬということだ。
誰からも認識されず、誰の記憶にも残らない。ただの物体となる。
一度実行すれば、元に戻せる保証はない。だが、その不可逆性が逆に奏太の背徳的欲望を刺激した。

「……やってやる」

奏太は【実行】をタップした。

『処理完了』

世界が変わった様子はない。教室の喧騒は続いている。
だが、決定的な変化があった。
詩織の座っていた席。そこが、クラスメイトたちの認識から「空席」になったのだ。
隣の席の男子が、詩織の机の上にカバンをドサリと置いた。カバンは詩織の細い腕に当たり、彼女の体を少し傾がせたが、男子は気にする素振りもない。まるでそこに誰もいないかのように。

詩織自身も変化していた。
本を開いたまま、ピクリとも動かない。瞬き一つせず、虚空を見つめている。
呼吸はしているのか、豊かな胸は微かに上下しているが、その瞳からは知性の光が完全に消え失せていた。
ただの美しい、肉の人形。

奏太はおそるおそる席を立ち、詩織のもとへ歩み寄った。
授業が始まろうとしているが、誰も奏太を注意しない。今の彼にとって、詩織の席は「誰もいない空間」であり、そこに近づいただけだからだ。

「……佐伯?」

顔を覗き込む。反応はない。ガラス玉のような瞳が、ただ真っ直ぐに前を見ているだけだ。
目の前で手を振ってみる。視線は動かない。
奏太は震える手で、彼女の艶やかな黒髪に触れた。サラサラとした感触。温かい体温。
彼女の未発達にも見える柔らかな頬を指でつつく。プニっとした弾力がある。
だが、彼女は何も感じていないかのように、無表情のままだ。

「本当に、人形になっちまったんだ……」

奏太の中に、抑えきれないどす黒い欲望が湧き上がってきた。
この高嶺の花は、今や誰のものでもない。社会的に存在しない、ただの「モノ」だ。
何をしても、誰にも咎められない。誰にも見えないのだから。

奏太は詩織の手を取り、立たせた。彼女は抵抗することなく、操り人形のように従順に立ち上がる。
そのまま彼女の手を引き、教室を出た。
すれ違う生徒たちは、奏太が一人で歩いているように振る舞い、詩織の体が存在する空間を無意識に避けて通っていく。

人気のない旧校舎の空き教室。
埃っぽい匂いがするその部屋に詩織を連れ込んだ奏太は、鍵をかけ、彼女を机の上に座らせた。
詩織は命じられるままに座り、虚空を見つめ続けている。

「佐伯、服を……脱げ」

試しに命令してみる。だが、彼女は動かない。
『役割』を削除された彼女には、「命令を聞く」という役割すら残っていないのだ。ただ刺激に対して物理的に反応するだけの肉塊。自発的な行動は一切取れない。

「そっか……全部、俺がしてやらなきゃいけないんだな」

それは、より一層の背徳感を煽った。
奏太は詩織のブレザーのボタンを外し、脱がせていく。彼女はされるがままだ。
ブラウスのボタンを上から順に外していく。白い肌があらわになり、純白のブラジャーに包まれた豊かな胸が露わになる。
普段の堅物な雰囲気からは想像もできないほど、彼女の体は成熟していた。

「すげぇ……こんなの隠してたのか」

奏太はスカートのホックを外し、下着ごと下ろさせた。
真っ白で滑らかな太腿が露わになる。詩織は恥じらうことも、隠すこともしない。
ただそこに、「在る」だけ。

奏太は彼女の股間に指を這わせた。
秘部は濡れていなかった。感情がないのだから当然だ。
だが、指で愛撫を始め、クリトリスを執拗に弄ると、身体は正直に反応を示し始めた。呼吸がわずかに荒くなり、ビクンと体が跳ねる。
それでも、表情は美しい能面のままだ。

「体は感じるんだな……その顔のままで」

そのギャップがたまらない。
奏太は自身のズボンを下ろし、昂りきった肉棒を取り出した。
詩織の脚を大きく開かせる。彼女は抵抗しない。
乾いた秘部に、自身の亀頭をあてがい、強引にねじ込んだ。

「き、つ……」

未経験なのかもしれない。窄まりは強烈で、一度に入り切らない。
だが、詩織は悲鳴を上げない。ただ、異物が侵入した衝撃で体が揺れるだけだ。
奏太は腰を掴み、自身の欲望のままに突き入れた。

「はぁ、はぁ……佐伯、お前、最高だよ……」

ズプッ、ズプッという水音が響き始める。
激しく腰を打ち付けるたびに、詩織の豊かな胸が上下に揺れる。
眼鏡がズレて鼻先に掛かっているが、彼女は直そうともしない。
奏太は彼女の乳房を揉みしだき、首筋に吸いつき、独占欲を満たしていく。
かつて自分を見下していた(ように見えた)美少女が、今はただの肉便器として扱われている。
教室では真面目な委員長として振る舞っていた彼女が、ここではただ快楽を受け入れるだけの容器になっている。

「くっ、だ、めだ……いくッ!」

限界が訪れ、奏太は最奥で精を解き放った。
ドクドクと熱い液体が彼女の中に注がれる。
詩織の身体がビクビクと痙攣する。それはオーガズムによるものではなく、単なる生理的な反射のように見えた。

事後、奏太は息を整えながら、詩織を見つめた。
だらしなく開かれた股間から、白濁した液体が垂れている。
それでも彼女は、相変わらず無垢で空虚な瞳で、何かを見つめている。
その姿は、あまりにも背徳的で、そして美しかった。

「……さて、次はどう遊ぼうか」

奏太はニヤリと笑い、スマホを取り出した。
アプリはまだ起動している。
この学校には、まだまだ編集すべき『役割』がたくさんある。
憧れのあの娘も、嫌いなあの教師も、すべては自分のオモチャなのだ。

奏太は詩織の服を適当に着せると、再び彼女の手を引いて教室を出た。
もはや彼女は、奏太の所有物。
一生、誰にも認識されることなく、奏太のためだけに慰み者として扱われる運命にある肉人形だった。