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格安で手に入れた『人体外部記憶装置』を冷淡な妹で試してみたら、17.5TBの大容量だった件について

14,112 文字 約 29 分

あらすじ

最近はPC用のストレージが高騰していて、気軽に買えない値段だ。
それはそうと、様々な中華製品を扱っている通販サイトでよくわからない代物を見つけた。
商品説明は機械翻訳のようで分かりづらいが、どうにも人の脳を外部記憶装置として使用するためのデバイスらしい。
デバイスはパソコン側につなぐUSBケーブルと、ヘッドセットのような機械から構成されている。
荒唐無稽な話だが、大して値が張らないのでネタで買っても良いだろう。


登場人物

私(兄)
ガジェット好きの冴えない男。最近のHDD高騰に頭を悩ませている。妹との仲は険悪だが、倫理観はそこそこ欠如している。

結衣(ゆい)
主人公の妹。高校二年生。今のところ兄を「キモい」「部屋から出てくるな」と蔑んでいる。黒髪ロングで見た目は清楚だが、兄に対する態度は氷河期。

本文

「はぁ……またHDDの値段上がってんのかよ」

 深夜の自室、PCのブルーライトに照らされた俺の顔は、苦々しいものだったに違いない。
 動画編集や趣味のデータ収集で、俺のストレージは常にカツカツだ。新しいHDDを増設しようにも、半導体不足だの円安だので、以前の倍以上の価格になっている。
 8TBのドライブ一つ買うのにも躊躇するレベルだ。もっと安く、大容量の保存場所はないものか。
 そんなことを考えながら、いつものように怪しげな海外通販サイト『AliExpress』や『Banggood』、さらにはもっとディープな中華サイトを巡回していた時だった。

『Human Brain External Storage Interface / 人体大脳外部記憶装置化接続器 - High Speed USB 4.0』

 そんなふざけた商品名が目に飛び込んできた。
 サムネイル画像には、頭に装着するヘッドギアのようなデバイスと、そこから伸びるUSBケーブル。そして、なぜか笑顔でPCに繋がれている外国人のイメージ写真。
 価格は日本円で約3,500円。
 説明文は例によってガバガバな機械翻訳だ。

『あなたの家族や友人を有効活用しましょう! 脳は未使用の領域が90%あります。これをフォーマットしてストレージにします。高速転送、プラグアンドプレイ対応。※対象人物の同意を得てください。』

「……馬鹿じゃねーの」

 鼻で笑ってしまった。脳をHDD代わりにする? SF映画じゃあるまいし、そんな技術が3,500円で売られているわけがない。どうせ中身はただのUSBメモリか、あるいはLEDが光るだけのジョークグッズだろう。
 だが、俺の指は勝手に『カートに入れる』をクリックしていた。
 この手の胡散臭いガジェットを検証してブログのネタにするのも、俺の趣味の一つだったからだ。送料込みでも飲み会一回分より安い。
 到着まで二週間。俺はその存在をすっかり忘れていた。

 ◇

「おい、荷物届いてたぞ。玄関に置きっぱなしにするなよ、邪魔くさい」

 不機嫌な声と共に、俺の部屋のドアが無遠慮に開けられた。
 立っていたのは妹の結衣だ。風呂上がりなのか、少し濡れた長い黒髪からシャンプーの匂いが漂ってくる。パジャマ代わりのTシャツにショートパンツという無防備な格好だが、俺を見る目はゴミを見るようだ。

「悪い悪い。……あ、これ例のアレか」
「何なのその汚い箱。中国語書いてあるし、爆発とかしないでしょうね」
「しねーよ。……たぶん」
「はぁ? 信じらんない。とっとと片付けてよね」

 結衣はそう言い捨てると、乱暴にドアを閉めて出て行った。
 相変わらず愛想のない妹だ。昔は「お兄ちゃん」と懐いてくれていた時期もあった気がするが、思春期を迎えてからは完全に汚物扱いである。
 俺は黄色いビニールテープでぐるぐる巻きにされた小包を開封した。
 中から出てきたのは、チープなプラスチック製のヘッドセットだ。デザインはゲーミングデバイスを真似たような黒と赤の配色だが、質感が安っぽい。
 耳を覆うイヤーカップ部分の内側には、剣山のような……いや、無数の微細な電極のような突起がびっしりと並んでいた。

「うわ、痛そう……。これが脳にアクセスする端子って設定か?」

 PCのUSBポートにケーブルを差し込む。認識音は鳴らない。説明書によれば、ドライバ不要で、ヘッドセットを人間に装着した瞬間から認識されるらしい。
 俺は自分の頭にはめたくなかった。もし漏電でもして感電したら笑えない。
 実験台が必要だ。
 俺の視線は、薄い壁の向こう、隣の部屋に向けられた。

 ◇

 一時間後。
 俺はリビングでくつろいでいた結衣に声をかけた。

「なぁ結衣。お前に頼みがあるんだけど」
「無理。金なら貸さない」
「違うって。新しいゲーミングヘッドセット買ったんだけどさ、俺の頭だとサイズが合わなくて。オーディオの聞こえ具合だけチェックしてくれないか? お礼にハーゲンダッツおごるから」
「……期間限定のやつ、二個」
「交渉成立」

 ちょろい。甘いものに目がないのは相変わらずだ。
 結衣は渋々といった様子で俺の部屋に入ってきた。ベッドの端に腰掛け、訝しげにデバイスを見る。

「何これ。なんかトゲトゲしてない?」
「最新の骨伝導タイプなんだよ。皮膚に密着させることで高音質になるらしい」
「ふーん。まあいいけど」

 結衣は疑うことなく、そのデバイスを頭に装着した。
 カチッ、とサイズ調整のアジャスターが鳴る。電極が彼女のこめかみや頭皮に触れたはずだ。

「……ん、なんかピリピリする……あ、れ……?」
「結衣? どうした?」
「兄貴、なん、か……あたま、グラグラし……」

 結衣の瞳から、急速に光が失われていく。
 抵抗する間もなく、彼女の上半身がふらりと揺れ、そのまま俺のベッドに倒れ込んだ。

「おい、結衣!?」

 俺は焦って駆け寄る。だが、彼女の胸は規則正しく上下しており、寝息のような静かな呼吸音が聞こえるだけだ。
 意識を失っている? いや、深い眠りに落ちたような……。
 その時、デスクの方から『ポロン♪』という軽快な通知音が鳴り響いた。
 PCの画面を見ると、右下にポップアップが出ている。

『新しいデバイスがセットアップされました:External Brain Storage (G:)』

「……マジかよ」

 俺は恐る恐るマウスを操作し、エクスプローラーを開いた。
 そこには確かに『ローカルディスク (G:)』という新しいドライブアイコンが増えていた。
 容量を確認して、二度見する。

『空き領域 17.5 TB / 合計サイズ 18.0 TB』

「17.5テラ……!? 人間の脳ってそんなにあんのかよ!?」

 驚愕のスペックだ。18TBのHDDなんて買おうとしたら五万円はくだらない。それがたった3,500円と、妹一人で手に入ってしまった。
 俺はゴクリと喉を鳴らし、そのドライブをダブルクリックした。
 ウィンドウが開く。中にはいくつかのフォルダが並んでいた。

『Memory』
『Knowledge』
『Motor_Control』
『System』

「すげぇ……本当に入ってる」

 好奇心が恐怖を上回った。『Memory』フォルダを開いてみる。
 日付ごとのフォルダがずらりと並んでいる。最新の日付――今日のフォルダを開くと、動画ファイルや画像ファイルが無数にあった。
 試しに一つ、動画ファイルを再生してみる。
 プレイヤーが立ち上がり、映像が流れる。
 視点は一人称だ。リビングの風景、スマホをいじる自分の手、そしてこちらに話しかけてくる俺の顔。
 音声もしっかり入っている。『なぁ結衣。お前に頼みがあるんだけど』――さっきの会話だ。これは結衣の視覚と聴覚の記録そのものだ。

「記憶(メモリ)って、本当にデータとして保存されてるのか……」

 プライバシーなんてあったもんじゃない。俺は背徳感を覚えつつも、マウスを動かした。
 次に『Knowledge』フォルダを見る。ここには『Language』『Social』『Hobby』などのサブフォルダがある。
 試しにテキストファイルのようなものを開くと、文字化けしたようなバイナリデータが表示された。これは人間が直接読むための形式ではないらしい。
 
 さて、ここまでは「読み込み」だ。
 ストレージである以上、「書き込み」ができなければ意味がない。
 そして、商品説明にあった注意書きを思い出す。
『注意:対象人物に関係ないデータを入れると、日常生活に支障をきたす場合があります』

 俺の視線は、ベッドで無防備に眠る(?)結衣に向けられた。
 Tシャツがめくれ上がり、白い腹部が露わになっている。ショートパンツから伸びる太腿は健康的で、悔しいが女を感じさせる。
 普段は俺をゴミ扱いする生意気な妹が、今は俺のPCに繋がれ、俺の好きにできる「記録媒体」になっている。
 歪んだ征服欲が、俺の中で鎌首をもたげた。

「……試しに、ちょっとだけ入れてみるか」

 俺は別のドライブに保存してある、とあるフォルダを開いた。
 特に容量の大きい、4K高画質のVRアダルト動画ファイル。サイズは約50GB。
 これを、結衣の脳内――Gドライブのルートディレクトリにドラッグ&ドロップする。

『コピー中… 残り時間 30秒』

「はっや! 転送速度どうなってんだUSB4.0!」

 驚異的なスピードでプログレスバーが伸びていく。
 その時だった。

「――ぅ、ぁ……っ!」

 ベッドの上の結衣が、小さく声を漏らして跳ねた。
 ビクン! と身体が弓なりに反り、手足が布団を掴む。

「え?」

「んぅっ! あ、あぁっ! ……く、ぅうっ!」

 データの転送に合わせて、結衣の身体が痙攣している。
 まるで電気ショックを受けているようだが、その表情は苦痛ではない。頬は紅潮し、口元からは涎が垂れ、半開きの目は白目を向きかけている。
 快楽だ。これは間違いなく、強烈な快楽に反応している動きだ。

「まさか、データ書き込みの信号が、脳の快楽中枢を刺激してるのか……?」

 俺は慌ててコピーを中断しようとしたが、あまりの転送速度に、俺がマウスを動かす前に完了してしまった。
 ポロン♪
 コピー完了の通知と共に、結衣の身体がガクンと脱力する。

「はぁ……はぁ……う、あ……」

 意識はないままだが、彼女の呼吸は荒く、全身が汗ばんでいる。
 俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
 データを書き込むだけで、これほどの反応を示すとは。
 ふと、魔が差した。
 たった一つのファイルでこれだ。もし、俺の秘蔵のフォルダ――合計3TBにおよぶエロ動画コレクションを全て転送したら、どうなる?
 結衣の脳の容量は17.5TB。余裕で入る。
 
「……実験、継続だな」

 俺は震える手で『My_Collection』フォルダを選択し、Gドライブへドラッグした。

「いっくぞ結衣。お前の脳みそ、俺の性癖で埋め尽くしてやる」
「コピーを開始します」のダイアログ。俺は『はい』をクリックした。

「――――あ゛ぁぁぁあああああっ!!」

 瞬間、結衣が絶叫した。
 今までとは比較にならない激しい痙攣。手足がバタバタと暴れ、リネンのシーツをくしゃくしゃにする。

「あっ、あっ、あっ、あ、あ、あああああ!!」

 大量のデータが脳神経を灼き尽くすような感覚なのだろうか。
 視覚情報、聴覚情報、そういったものが直接脳に叩き込まれる奔流。
 俺はその様子を眺めながら、興奮を抑えきれなくなっていた。
 普段偉そうな妹が、俺の「趣味」を流し込まれて、無様に快楽に溺れている。
 俺はベッドに歩み寄った。
 激しくのたうち回る結衣の身体。Tシャツは乱れ、胸元まで捲れ上がっている。ブラジャーなど着けていないのか、小さな膨らみと桜色の突起が露わになり、激しい呼吸に合わせて上下していた。

「すげぇ……感度良すぎだろ、このHDD」

 俺は彼女のショートパンツに手をかけた。
 抵抗はない。いや、それどころではないのだ。彼女の脳は今、数千本の動画データを処理することに手一杯で、現実の肉体の制御など放棄している。
 下着ごとパンツを引き下ろすと、そこは既にぐしょ濡れだった。
 書き込みの刺激だけで、ここまで達しているのか。

「んぎぃっ! ひぐっ、あ、あ、あぁぁーっ!」

 俺は結衣の秘所に指を這わせた。
 熱い。火照っている。
 俺の指の動きに合わせて反応しているわけではない。彼女はただ、内側から湧き上がる電子の波に翻弄されているだけだ。
 だが、俺がクリトリスを弄ると、その反応はさらに激化した。

「ひぃッ! 兄、き……? ちが、なに、これぇぇぇ!!」

 うわごとのように呟く。意識はないはずなのに、脳への直接入力と、肉体への刺激が混線しているのかもしれない。
 モニターの転送バーはまだ10%も進んでいない。
 まだ何時間も楽しめる。
 俺はズボンのベルトを解いた。
 妹をHDDにする。ただそれだけの目的だったはずが、今や彼女は最高のオナホール兼ストレージになり果てていた。

「入れてやるよ。データも、俺のモノも」

 俺は硬直した彼女の秘裂に、自身のモノを宛がった。
 愛液のおかげで、抵抗なくぬるりと飲み込まれていく。
 
「あ゛、あ゛っ! 何か、入っ、くるぅぅぅ!!」

 肉欲のデータと、現実の侵入。二重の凌辱に、結衣の腰が野生動物のように跳ねた。
 膣内はとんでもない締め付けだった。痙攣するたびに、俺のペニスを食いちぎらんばかりに締め上げてくる。
 
「くっ、これ……良すぎだろ……!」

 俺はケーブルを引き抜かれないように注意しながら、妹の身体に覆いかかり、激しく腰を打ち付けた。
 ガン、ガン、とベッドがきしむ音と、PCのファンが唸る音、そして結衣の嬌声が重なり合う。
 プログレスバーが進むたびに、彼女の絶頂の波が訪れる。
 彼女がイくたびに、転送速度が一瞬上がるような気さえした。

 ◇

『コピーが完了しました』

 数時間後。全てのデータ転送が終わった時、俺もまた果てていた。
 ベッドの上には、白濁液と愛液にまみれ、ピクピクと時折痙攣する結衣の姿があった。
 完全に目がイっている。焦点が合わず、口からは涎と共に、意味のない言葉の断片を漏らしている。

「あ、ぅ……ん……ふぁいる……」

 俺は賢者タイムの頭で、事後処理を考えた。
 とりあえずデータを削除すべきか? いや、せっかく転送したのだ。バックアップは重要だ。
 それに、この状態の妹は……なんていうか、非常に扱いやすそうだ。
 俺はPC画面上の『Storage_YUI (G:)』のプロパティを開いた。
 使用領域 3.2TB。まだまだ余裕がある。

「次は……OSでもインストールしてみるか?」
「……う……ぁ……」

 結衣が虚ろな目で俺を見た。
 その瞳の奥には、俺のコレクションした数千の動画データが焼き付いているはずだ。
 明日から彼女がどんな性格になるのか。それは分からない。
 だが、この便利なストレージを手放す気にはなれなかった。
 俺はそっと、彼女の頭からデバイスを外さずに、そのまま『フォーマット(初期化)』の項目にマウスカーソルを合わせた。
 あるいは、彼女の人格データを一度バックアップして、自分好みの「妹」を一から作り上げるのも面白いかもしれない。
 
 17.5TBの可能性は、無限大だ。

 ◇

 翌朝。
 俺はキッチンから漂ってくる味噌汁の匂いで目を覚ました。
 普段なら、結衣はギリギリまで寝ているか、コンビニのパンを齧って登校するはずだ。こんなちゃんとした朝食の匂いがするのは、母さんが生きていた頃以来かもしれない。
 リビングに行くと、エプロン姿の結衣がいた。

「あ、お兄ちゃん! おはよう!」

 満面の笑み。
 昨日の氷のような態度はどこへやら、今の彼女は春の陽だまりのように暖かい。
 違和感があるとすれば、その服装だ。エプロンの下は、昨日と同じTシャツ一枚。しかも、なぜか下着を穿いていないらしく、動くたびに裾から白いお尻が半分見え隠れしている。

「……おはよう、結衣。お前、何か雰囲気変わったな」
「そうかな? お兄ちゃんのために朝ごはん作ったんだよ。食べて食べて!」

 食卓には完璧な和定食が並んでいた。
 味も完璧だ。というか、完璧すぎる。料亭の味に近い。
 俺は味噌汁を啜りながら、昨夜のことを思い出す。
 Gドライブの『Knowledge』フォルダ。『Cooking』というサブフォルダの中に、ネット上のありとあらゆるレシピデータを放り込んだ覚えがある。
 まさか、それが反映されているのか?

「どう? 美味しい?」
「あ、ああ。美味いよ」
「えへへ、よかったぁ。『お兄ちゃんを喜ばせる100の方法』っていうページを見たの」

 ……そんなファイルも入れたっけか。
 結衣は俺の隣に座り込み、ぴったりと身体を寄せてくる。太ももの柔らかい感触が伝わってくる。
 昨日のアレで、俺に対する好感度パラメータも書き換わったらしい。あるいは、俺の性癖フォルダの影響で「兄=奉仕する対象」と認識されたか。
 どちらにせよ、悪くない変化だ。

 ◇

 学校でも、結衣の様子は少しおかしかったらしい。
 俺と結衣は同じ高校に通っている。昼休み、廊下ですれ違った結衣の友人が、心配そうに話しているのが聞こえてきた。

「ねえ、今日の結衣変じゃない?」
「うん。なんか数学の時間のとき、先生に指されてフリーズしてたよね」
「そうそう! 十秒くらい固まってたと思ったら、急にスラスラ答えだして。しかも教科書に載ってないような解法で」

 俺は苦笑した。
 脳内検索(シーク)に時間がかかったのだろう。俺のPCはそこそこのスペックだが、結衣の脳内データのインデックス化がまだ完了していないのかもしれない。
 放課後、俺が教室を覗くと、まだ結衣が残っていた。
 机に向かって何かブツブツと呟いている。

「……検索中……検索中……該当データなし……404 Not Found……」
「結衣、帰るぞ」
「あ、お兄ちゃん! 待って、今夜の夕飯の献立をクラウドから取得してるの」

 完全にデジタルに侵食されている。
 だが、周囲のクラスメイトは「またあの子、変なこと言ってる」くらいにしか思っていないようだ。
 まだぶつぶつ呟いている結衣をよそに、手を引っぱって帰った。

フォーマットしてみる

 「人格」というOSそのものが邪魔になった場合、どうなるのか。
 最近、積みゲー(購入したままプレイしていないゲーム)が増えてきて、PCの容量を圧迫していたのだ。
 俺は結衣の脳内データを全て選択し、『外部HDD(4TB)』にバックアップ(退避)させた。
 念のため、二重バックアップも取る。大事なデータだからな。妹の人格データという意味ではなく、俺が入れたエロ動画コレクションのバックアップとして。
 そして。

『ドライブ G: をフォーマットしますか? 全てのデータが消去されます』

 『はい』。
 プログレスバーが一瞬で満タンになる。
 数秒でフォーマット完了。
 結衣の脳は、正真正銘の「空っぽ」になった。
 空き領域 17.5TB。
 真っ新な、何も書かれていないキャンバス。
 俺はそこに、数百本のSteamのゲームデータと、録画したアニメの倉庫データを転送した。
 容量の大きいファイルから順に放り込んでいく。
 『Elden Ring』『Cyberpunk 2077』『Red Dead Redemption 2』……。
 合計で約8TB分のゲームライブラリが、妹の脳内に収まっていく。

「さて、どうなる?」

 データ転送後、デバイスを外してみる。
 結衣がゆらりと立ち上がった。
 だが、その目は焦点が合っておらず、どこか虚空を見つめている。

「おはようございます、冷蔵庫が青いですね……」

 口から発せられるのは、一見普通の日本語だが、全く意味をなさない文章だ。
 身体の動きもおかしかった。
 右足を出そうとして左手が変な方向に曲がり、壁に激突する。
 運動制御(Motor_Control)すら入っていない、ただのデータの器。
 壁に頭をぶつけ続けても、痛みを感じる機能(OS)がないため、止まらない。
 ガン、ガン、ガン。

「痛いじゃなくて、カレーが泳ぐ時計…」

 額から血が流れるが、彼女は無表情のまま、支離滅裂な言葉を紡ぎながら反復行動を続ける。

「……あー、これは生活できないな」

 OS(人格)がないと、バイオマシンとしての維持すらままならないらしい。
 俺は慌てて彼女を座らせ、再びPCに接続した。
 ストレージとして認識されると、彼女はピタリと静止し、スリープモードのような静かな寝息を立て始めた。

「繋いでる間は安定するのか……」

 俺はGドライブ(結衣)にインストールしたFPSゲームを起動してみた。
 ロード時間が爆速だ。SSDなんて目じゃない。
 画面の中でキャラクターが滑らかに動く。その処理の一部を、妹の脳神経が担っていると思うと、不思議な征服感があった。

「ま、しばらくは外付けSSDとして使うか。飽きたらOS戻せばいいし」

 俺は結衣の頭をマウスパッド代わりにしながら、快適なゲーミングライフに没頭した。

 ◇

 数日間、俺は結衣を完全なストレージとして使い続けた。
 朝起きたら、まずPCに接続。
 学校に行く時間になったら、一旦デバイスを外して制服を着せ、ケーブルを繋いだまま登校させる。
 もちろん、中身は空っぽだから、学校では何もできない。
 教室の隅で虚ろな目をして座っているだけの結衣を、周囲は「体調が悪いのかな」程度にしか思っていないようだ。
 帰宅後、再び接続してゲームを楽しむ。
 夜はそのまま充電(睡眠)させる。
 完璧なサイクルだ。

 ◇

 ある日、俺は結衣の様子が気になって、学校まで様子を見に行った。
 昼休み、教室の窓から覗くと、結衣は机に突っ伏していた。
 周りの生徒たちが心配そうに声をかけている。

「結衣ちゃん、大丈夫? 保健室行く?」
「……窓が開いてノートが美味しいです……」

 結衣の口から出てくるのは、文法的には正しいが、全く意味をなさない言葉だ。
 クラスメイトは困惑した表情で顔を見合わせる。

「え……? 結衣ちゃん、何言ってるの?」
「……お昼ご飯が飛んでいます、青い鉛筆……」

 ただ、虚ろな目で窓の外を見つめている。
 その目には、何の感情も宿っていない。
 まるで、電源の入っていない人形のようだ。

「先生、結衣ちゃんの様子がおかしいです」
「そうか……じゃあ、保健室に連れて行ってあげて」

 クラスメイトに支えられながら、結衣はフラフラと教室を出て行った。
 その姿を見ながら、俺は少し罪悪感を覚えた。
 だが、それ以上に、この「空っぽの妹」を操っている優越感が勝っていた。

 放課後、結衣が帰宅すると、俺はすぐにデバイスを装着させた。
 ストレージとして認識されると、彼女はピタリと静止する。
 そして、俺は今日のゲームを起動した。
 結衣の脳内に保存された『Elden Ring』のセーブデータを読み込む。
 ロード時間、0.3秒。
 完璧だ。

 ◇

 ある日、ふと思いついて、結衣の脳内に保存したゲームのセーブデータを確認してみた。
 すると、驚くべきことに、セーブデータの一部が「破損」していた。
 ファイルを開くと、意味不明な文字列が並んでいる。

『HELP ME… I AM… WHERE… BROTHER…』

 英語の断片。
 まさか、結衣の残留思念が、データの隙間に紛れ込んでいるのか?
 背筋が少し寒くなったが、俺はそのファイルを削除した。
 ゴミデータは不要だ。

 そして、また何事もなかったかのようにゲームを再開する。
 妹の脳を踏み台にして、俺は新しいハイスコアを叩き出した。

妹の視点

 最近、変な夢を見る。
 真っ白な空間に、知らない数字や文字が滝のように流れてくる夢だ。
 そして、身体中を駆け巡るような、熱くて甘い電流の感覚。
 目が覚めると、ひどく疲れていることが多い。

「……はぁ」

 教室の窓際、私はため息をついた。
 最近、記憶が曖昧なことがある。
 昨日の夜、何を食べたっけ? 日曜日は何をしていたっけ?
 思い出そうとすると、頭の中にノイズが走るような感覚がある。

「結衣、大丈夫? なんか最近ボーッとしてない?」

 親友の美咲が心配そうに覗き込んでくる。
 私は作り笑いを浮かべて、「平気平気」と答える。
 でも、本当は少し不安だった。
 授業中、黒板の文字を見ていると、勝手に知らない情報が頭の中に浮かんでくることがあるのだ。
 例えば、世界史の授業で「ナポレオン」という単語が出た瞬間。
『ナポレオンフィッシュ、ベラ科の魚類、最大2メートル……』
 と、全く関係のない魚の知識がペラペラと脳内再生されたりする。
 あるいは、数学の授業中。
 教師が書く数式を見ていると、突然視界の端に『FPSの照準(クロスヘア)』のような赤い点滅が見えた気がしたのだ。
 先生の声が遠のき、代わりに銃声や爆発音が頭の中に響く。

『Enemy down! Reloading!』

 男の人の叫び声。
 そんなゲーム、私はやったことがないのに。
 まさか、疲れすぎて精神がおかしくなっているのだろうか。
 
 極めつけは、昨日の帰り道だ。
 コンビニで中華まんを買おうとした時、店員さんに「肉まんください」と言うはずが、口をついて出た言葉は――
「あ……『お兄ちゃん大好きです……もっと、ください……』」
 だった。
 店員さんはギョッとしていたし、私も自分の口を疑った。
 慌てて「ち、違います! 肉まんです!」と訂正して逃げるように帰ったけれど、あれは一体何だったんだろう?
 まるで、誰かが書いた台本を勝手に読み上げさせられたような、不気味な感覚。

「私、どうしちゃったんだろ……」
「ん? なになに、恋の悩み?」
「違うってばぁ……」

 美咲は茶化してくるけれど、笑い事じゃない。
 家に帰ると、兄貴がニヤニヤしながら私の顔を見てくるのも気持ち悪い。
 前みたいに「ウザい」と言い返したいのに、なぜか口が動かない時がある。
 それどころか、兄貴の顔を見ると、なぜか胸の奥がキュンとするような、あるいは「従わなきゃ」という強迫観念のようなものが湧き上がってくるのだ。
 まるで、私の心の一部が、誰かに書き換えられているみたいに。

 私は自分のこめかみを強く押さえた。そこには、いつの間にか小さな痣のような跡ができていた。
 それが、あのヘッドギアの電極の跡だとは、知る由もなかった。

 ◇

 その夜、私は自室で宿題をしていた。
 数学の問題集を開いているのに、なぜか頭の中に料理のレシピが浮かんでくる。
『豚の角煮、材料:豚バラブロック500g、長ネギ1本、生姜……』
 違う、今は数学をやってるんだって。
 私は頭を振って集中しようとするが、次々と無関係な情報が流れ込んでくる。
『HTML5の基本構造、……』
『C言語のポインタ演算、int *p = &a;……』
 プログラミングなんて勉強したことないのに。

「うぅ……頭、痛い……」

 こめかみを押さえると、ズキズキと鈍痛が走る。
 そして、ふと気づく。
 私の部屋のドアが、少しだけ開いている。
 隙間から、兄貴の部屋の明かりが漏れている。
 なぜか、そちらに引き寄せられるような感覚がある。
 気づけば、私は立ち上がり、廊下を歩いていた。
 兄貴の部屋のドアをノックする。

「……兄貴、いる?」
「ん? 結衣か。どうした」
「あの……なんか、頭が変で……」

 兄貴は私を部屋に招き入れた。
 PCの前に座っている兄貴の横に、私は吸い寄せられるように座る。
 兄貴が私の頭に手を置くと、不思議と落ち着く。

「ちょっと、診てやるよ」

 兄貴がデスクの引き出しから、あのヘッドセットを取り出した。
 見た瞬間、私の身体が勝手に反応する。
 恐怖ではなく、安心感。
 まるで、「帰るべき場所」を見つけたような。

「これ、着けてみろ。楽になるから」

 私は素直に従った。
 ヘッドセットが頭に装着されると、世界がゆっくりと遠のいていく。
 意識が沈んでいく。
 最後に聞こえたのは、兄貴の声だった。

「よしよし。ちょっとメンテナンスしてやるからな」

 そして、私の意識は闇に落ちた。

人格コピー

 後日。
 俺は悪友の田中(たなか)を家に招いた。
 田中は同じガジェットオタクで、こういう怪しい話には食いつきが良い。
 俺は彼に、例のデバイスの話を(妹を実験台にしていることは伏せて)持ちかけた。

「マジで? 脳内データをコピーできるって?」
「ああ。理論上は、人格のコピーも可能だ」
「うっわ、やべぇなそれ。……なあ、それって『俺のコピー』も作れるってことか?」
「試してみるか?」

 興味津々の田中にヘッドセットを装着させ、PCに接続する。
 認識されたHドライブ(田中)から、『Mind』『Memory』『Knowledge』などの主要フォルダを一括コピーする。容量は意外と少なく、12TBほどだった。コイツ、妹より脳みそスカスカかよ。
 データ抽出が終わると、田中は「なんか今、すごい勢いで記憶を舐め回された気がする……」と青ざめていたが、俺は構わず次のステップに移った。
 隣室で寝かせていた結衣を連れてくる。
 今の結衣は、俺が初期化実験をした後、バックアップから復元した状態だ。空き容量は十分にある。

「え、お前の妹ちゃん? なんでここに?」
「実は、こいつが今の俺の『サブマシン』なんだ」
「は?」
「見てろよ」

 俺は結衣にデバイスを装着させ、田中の人格データ(フォルダ一式)を、結衣のGドライブにドラッグ&ドロップした。
 上書き保存しますか? 『はい』。

『コピー中…』
『完了しました』

 再起動。
 結衣がゆっくりと目を開けた。
 その仕草は、いつもの清楚な妹のものではなかった。
 ガバッと起き上がり、自分の手をまじまじと見つめる。そして、自分の胸をガシッと掴んだ。

「うおっ!? 柔らかっ!? ……え、何これ、おっぱいあるし!」
「よう、田中」
「えっ、あ、おま……俺、なんでお前の妹になってんの!?」

 完全に田中の口調だ。
 結衣の可憐な顔から、野太い男のようなリアクションが飛び出す。
 美少女の中に、むさいオタク男の人格が入っている。そのギャップは強烈だった。

「成功だな。お前の人格データを妹の脳にインストールしたんだ」
「マジかよ……すげぇ! 俺、JKになってる! 超かわいくね!?」

 田中(in 結衣)はスカートを捲り上げ、自分のパンツを覗き込んだり、太ももをさすったりして大興奮している。
 自分の身体でセクハラをする妹(中身は男子高校生)。
 これを使って、何か面白いことができそうだ。
 俺はニヤリと笑った。

「なぁ田中。せっかくだから、その体で『女の快感』ってやつを体験してみたくないか?」
「は? ……いや、まあ、興味ないわけじゃないけどよ」
「俺が手伝ってやるよ。自分の妹の体だから、遠慮はいらないしな」
「お前、マッドサイエンティストすぎるだろ……でも、ちょっと面白そうかも」

 こうして、新たな実験が幕を開けた。
 中身が男の妹を開発する。これ以上の背徳感はないだろう。

 ◇

「うわ、マジで感度やべぇ……!」

 田中(in 結衣)は、自分の身体を触りながら驚愕の声を上げていた。
 俺がベッドに座らせ、「まずは自分で試してみろ」と指示したのだ。
 田中は恐る恐る、自分の胸に手を這わせる。

「ひっ……! なにこれ、ちょっと触っただけで変な感じする……」
「女の身体は敏感なんだよ。特に、そこは」

 俺が指差したのは、Tシャツ越しに浮き出た乳首だ。
 田中は自分でそこをつまんでみる。

「あっ……! やば、これ……っ!」

 ビクンと身体が跳ねる。
 男の時には感じたことのない、全身を駆け巡る甘い電流。
 田中の顔(結衣の顔)が、みるみる紅潮していく。

「お前、もう濡れてるんじゃないか?」
「え……マジで?」

 田中は自分のスカートの中に手を入れ、下着の上から確認する。
 そして、驚愕の表情を浮かべた。

「うわ、ほんとだ……なんか、ぬるぬるしてる……」
「じゃあ、次のステップだ。パンツ脱いでみろ」
「お、おう……」

 田中は躊躇しながらも、スカートとパンツを脱いだ。
 白い太ももの間に、ピンク色の秘裂が露わになる。
 既に愛液で濡れ光っている。

「うわぁ……これが俺の……いや、この身体の……」
「触ってみろよ。自分で」

 田中は恐る恐る、自分の秘所に指を這わせた。
 瞬間。

「ひぁっ!? な、なにこれ! やばい、やばいって!」

 腰がガクガクと震える。
 男の時とは比較にならない、圧倒的な快感。
 田中は自分の指を動かし続ける。

「あ、あ、これ、止まんない……っ!」
「いいぞ、そのまま続けろ」

 俺は田中(結衣の身体)の様子を観察しながら、自分のズボンを脱いだ。
 田中が自慰に夢中になっている隙に、俺は彼女の背後に回り込む。

「ちょっと、俺も参加するぞ」
「え、ちょ、待っ――んぁっ!?」

 俺が後ろから結衣の身体を抱き寄せ、胸を揉みしだく。
 田中の指と、俺の手が同時に刺激を与える。

「やば、やば、これ、二重で来る……っ!」
「気持ちいいだろ? 女の身体は」
「あ、ああ……マジで、想像以上……っ!」

 田中の指の動きが激しくなる。
 そして、ついに。

「あ、あ、あ、来る……! イく、イっちゃう……っ!!」

 ビクンビクンと全身が痙攣し、田中(in 結衣)は初めての女性としての絶頂を迎えた。
 その様子を見ながら、俺は次の段階に移ることを決めた。

「次は、本番だ」
「え……マジで?」
「お前、もう戻れないぞ。この快感を知ったら」

 俺はそう言いながら、結衣の身体を四つん這いにさせた。
 田中は抵抗することなく、むしろ期待に満ちた目で俺を見上げてくる。

「……頼む」

 完全に堕ちている。
 俺は田中(結衣)の中に、ゆっくりと侵入していった。

「っ……! あ、あ、入って……来る……!」

 田中の声が震える。
 結衣の処女膜は、既に俺が以前破っていたため、抵抗は少ない。
 だが、田中にとっては初めての「挿入される」感覚だ。
 男の時には絶対に味わえない、内側から満たされていく感覚。

「やば……これ、マジで……っ!」
「どうだ? 気持ちいいか?」
「あ、ああ……なんか、身体の芯まで届いてる感じ……っ!」

 俺はゆっくりと腰を動かし始めた。
 田中(結衣)の膣内は、驚くほど締め付けてくる。
 中身が男だからか、どこか不慣れな反応が逆に新鮮だ。

「あっ、あっ、動いてる……っ! 中で、動いてる……っ!」
「感じてるな。もっと激しくしてやるよ」
「え、ちょ、待っ――ひぁっ!?」

 俺は腰の動きを速めた。
 ガン、ガン、とベッドがきしむ音が部屋に響く。
 田中は自分の胸を揉みしだきながら、快感に身を委ねている。

「あ、あ、あ、これ、やばい……っ! 男の時と全然違う……っ!」
「女の快感は全身で感じるんだよ」
「マジで……っ! 頭、真っ白になる……っ!」

 俺は田中の腰を掴み、さらに深く突き上げる。
 子宮口に当たるたびに、田中の身体がビクンと跳ねる。

「そこ、そこっ……! なんか、変な感じ……っ!」
「ここか?」
「ひぁっ! あ、あ、あ、ダメ、そこ突かれると……っ!」

 俺は容赦なく、その場所を集中的に攻める。
 田中の声がどんどん高くなっていく。

「あ、あ、あ、来る……! なんか、来る……っ!!」
「イくのか?」
「わかんない……っ! でも、なんか、すごいの来る……っ!!」

 そして、ついに。

「あ゛ぁぁぁぁああああっ!!!」

 田中の全身が弓なりに反り返り、激しく痙攣した。
 膣内がギュウギュウと俺のペニスを締め付けてくる。
 その刺激に耐えきれず、俺も中に放出した。

「あ……あ……っ! 中、熱い……っ!」

 田中は放心状態で、ピクピクと痙攣を続けている。
 初めての女性としての絶頂。
 その衝撃は、想像以上だったようだ。

 ◇

 数時間後。
 ベッドの上には、白濁液にまみれた結衣の身体があった。
 中身は田中だが、その表情は完全にメスのものだ。

「はぁ……はぁ……マジで、やべぇ……」
「どうだった? 女の快感は」
「……最高だった。男の時の100倍は気持ちよかった」

 田中(in 結衣)は虚ろな目で天井を見つめている。
 完全に快楽に溺れている。

「なぁ……俺、このままこの身体でいたいんだけど」
「は?」
「マジで。もう男に戻りたくない。この身体、最高すぎる」

 俺は予想外の言葉に驚いた。
 だが、悪くない提案だ。
 田中の本体(男の方)は、まだ俺の部屋で気絶したままだ。
 あれをどうするかは、また別の問題だが。

「まあ、いいんじゃないか? お前がそれでいいなら」
「マジで!? やった! じゃあ、これから俺、お前の妹として生きるわ!」

 こうして、俺の妹は完全に別人になった。
 中身は男友達。
 でも、見た目は可愛い妹。
 これはこれで、面白い生活になりそうだ。