学園男女逆転〜認識阻害の倒錯授業〜
あらすじ
ある日突然、その学校の男子と女子の身体が入れ替わってしまう。ただし、学校にいる全員それに気づかない。
服装は変わっておらず、元の身体用の服を着ている。
登場人物の容姿
高見沢 健太(タカミザワ ケンタ)/現在の身体:白石 麻衣(シライシ マイ)
クラスの目立たない男子生徒。小柄で痩せ型だったが、クラス一の美少女である白石麻衣の身体に入れ替わっている。
外見(中身:健太):身長158cm。艶やかな黒髪のロングヘア、陶器のように白い肌、華奢な手足。そして制服の上からでもはっきりと分かる豊かな胸の膨らみと、くびれたウエスト、丸みを帯びた臀部を持つ、誰もが振り返る美少女。
服装:男子用の学ラン(詰め襟)を着用している。サイズが合っておらず、肩幅が余り、袖から白い指先が少し覗いている。ズボンは腰回りがパツパツだが、ベルトで無理やり締めている。
白石 麻衣(シライシ マイ)/現在の身体:高見沢 健太(タカミザワ ケンタ)
才色兼備のクラス委員長であり、学園のアイドル的存在。健太の身体に入れ替わっている。
外見(中身:麻衣):身長165cm。平凡な顔立ちの男子。筋肉は少なく、少し猫背気味。
服装:女子用のセーラー服を着用している。肩幅がきつく、胸元のリボンが窮屈そう。スカートを穿いており、ハイソックスを履いているが、足にはすね毛が薄く生えている。
剛田 猛(ゴウダ タケシ)/現在の身体:綾瀬 さくら(アヤセ サクラ)
柔道部主将の巨漢。小柄で可愛らしいさくらの身体に入れ替わっている。
外見(中身:猛):身長150cm。栗色のボブカット、小動物のような愛くるしい顔立ち。胸はささやか。
服装:特注サイズの大きな学ランを、小さな身体でダボダボに着ている。まるで彼氏の服を借りた彼女のような状態。
本文
「起立、礼、着席」
号令と共に、2年B組の生徒たちが一斉に席に着く。ガタガタと椅子の引く音が響き、日常のホームルームが始まった。
担任の教師が教壇で出席簿を開く。窓の外からは蝉の声が聞こえ、教室内には冷房の微かな稼働音が響いている。
一見、何の変哲もない風景。しかし、第三者の視点から見れば、その光景は異様極まりないものだった。
教室の右半分、男子列に座っているのは、全員ふっくらとした肢体を持つ『少女』たちだった。
彼女たちは無骨な黒い学ランに身を包んでいる。ある者はボタンを第二ボタンまで開け、その奥に白い肌と谷間を覗かせている。ある者はスラックスのポケットに手を突っ込み、股を大きく広げて座っている。その股間には膨らみなどなく、スラックスの生地が平らに伸び、あるいは食い込んでいるだけだ。
彼女たちの顔立ちは皆可愛らしく、あるいは美しく、髪は長く艶やかだ。しかし、その表情は退屈そうに歪み、あくびを噛み殺し、あるいは隣の席の友人と野太い声で談笑している。
「あー、マジだりぃ。昨日のゲーム、あそこマジ無理ゲーじゃね?」
「それな。俺もあそこで詰んだわ」
そう会話しているのは、クラスのアイドルである白石麻衣の身体を持つ高見沢健太と、その隣に座る小柄な女子の身体を持つ友人だ。
健太(麻衣の身体)は、豪快に足を組み、背もたれにふんぞり返っている。学ランの前ボタンは弾け飛びそうなほど胸に押されており、隙間から白いブラジャーのレースが見え隠れしているが、本人は全く気にしていない。長く美しい黒髪が背中のごわついた学ランにかかっている。組まれた足はスラックス越しでも分かるほど太股が肉感的で柔らかそうだが、本人の仕草は完全に『男子高校生』のそれだった。
一方、教室の左半分、女子列に座っているのは、ゴツゴツとした骨格を持つ『少年』たちだった。
彼らはセーラー服やブレザーの女子制服に身を包んでいる。肩幅が広く、セーラー服の袖がその筋肉質な腕に食い込んでいる。スカートからは毛深い、あるいは節くれだった足が伸びており、ハイソックスがふくらはぎの筋肉で伸びきっている。
彼らは皆、足をきっちりと揃え、背筋を伸ばし、楚々として座っていた。
「……(昨日の予習、完璧にしてきてよかった)」
白石麻衣(健太の身体)は、小さな手鏡を取り出し、前髪を直している。その手は大きく、指は太いが、動きは繊細そのものだ。スカートの裾を気にして、膝頭が見えないように何度も直す仕草は、まさに深窓の令嬢のようだった。しかし、その顔は平凡な男子高校生のそれであり、スカートの中には本来あるはずのない膨らみが微かに存在していた。
この狂った世界において、誰もその異常性に気づいていない。
男子たちは自分が『男の身体』を持っていると信じて疑わず、女子たちは自分が『女の身体』であると確信している。
たとえ、トイレで自分の股間に『それ』がなくても、あるいはあっても。
あるいは、鏡に映る姿が明らかに異性のものであっても。
彼らの脳は、強力な認識阻害によって現実を都合よく書き換えているのだ。いや、書き換えていることすら認識していない。
1限目の授業が始まった。数学の時間だ。
剛田猛の精神を持つ綾瀬さくらの身体は、一番後ろの席で盛大なあくびをした。
「ふぁ……」
その拍子に、彼女(彼)は大きく伸びをする。ダボダボの学ランの裾が持ち上がり、鍛えられていない柔らかく白い腹部と、小さなへそが露わになった。さらに脇からは、処理されていない極薄い脇毛が覗くのではなく、ツルツルの美しい脇が見える。
剛田は柔道部の主将であり、本来なら岩のような巨体を持つのだが、今は身長150cmの小柄な美少女だ。しかし彼の認識では、自分は未だに強靭な肉体を持つ男の中の男である。
彼は頬杖をつき、シャーペンを回す。その指は細く、爪は桜色で小さい。
「(チッ、腹減ったなぁ……早弁すっか)」
剛田は机の下でガサゴソとパンの袋を開ける。その動きに合わせて、小柄な身体が揺れる。
前の席に座る男子(中身は女子)が、背中に何かが当たるのを感じて振り返った。
「もう、剛田くん、揺らさないでよ」
そう言ったのは、可愛らしいピンクのリップを塗った……いや、塗られているはずの唇を持つ、坊主頭の男子生徒だった。彼は女子制服のリボンをいじりながら、上目遣いで剛田(さくらの身体)を睨む。
男の低い声ではなく、なぜかその声は少年の変声期前のそれのように、あるいは少し高く聞こえるような錯覚を伴って響く。
「わりぃわりぃ」
剛田はニカッと笑う。その笑顔は、さくらの愛くるしい顔立ちによって、破壊的なまでの『萌え』を生み出しているが、本人はあくまで『男らしい笑顔』のつもりだ。
休み時間。それぞれの個室へと向かう時間だ。
「おい健太、便所行こうぜ」
「おう」
健太(麻衣の身体)は、友人たち数人と連れ立って席を立つ。
彼らはガニ股で廊下を歩き、迷うことなく『男子トイレ』へと入っていく。
青い暖簾をくぐった先には、小便器が並んでいる。
彼ら……いや、彼女たちは、何の躊躇もなく小便器の前に並んだ。
健太はファスナーを下ろす。そこにあるのはスラックスの社会の窓だ。
彼は慣れた手つきで『モノ』を取り出そうとする。
しかし、そこには何もない。平らな、割れ目のある女性器が存在するだけだ。
だが、健太の認識は止まらない。彼は『あるはずのもの』を握っているつもりで、腰を突き出す。
「ふぅー……」
ジョロジョロジョロ……という音。
物理的に、立って放尿すればどうなるかは明白だ。
尿は重力に従って真下に落ち、スラックスの太股部分や靴に飛び散る。あるいは、床に水溜まりを作る。
しかし、健太たちはそれを気にしない。
「あー、すっきりした」
「今日プールだろ? だりぃなぁ」
彼らはハンカチで手を拭くこともなく(洗う振る舞いだけはする)、ビショビショになったかもしれない股間や足元を気にすることもなく、ブルッと身震いをしてチャックを上げる。
認識阻害は、その『不快感』や『汚れ』さえも、彼らの意識から遠ざけているのか、あるいは『いつものこと』として処理させているのだろうか。
美しい少女たちが、男子トイレで連れションをし、床を汚して去っていく。その背中は、どこか男臭かった。
一方、女子トイレ。
「麻衣ちゃん、行こ?」
「うん」
麻衣(健太の身体)は、友人たちと共に『女子トイレ』へ向かう。
赤い暖簾をくぐり、個室へと入る。
麻衣はスカートを捲り上げる。そこに見えるのは、逞しい太股と、白いブリーフだ。
彼女は丁寧にブリーフを下ろす。そこには、男子の象徴であるイチモツがぶら下がっている。
しかし麻衣はそれを気にも留めない。彼女は便座に座る。
イチモツは下を向き、便器の中に収まる。
「……(ふぅ)」
彼女は静かに用を足す。
トイレットペーパーをカラカラと巻き取り、丁寧に『拭く』。
存在しない『割れ目』を拭くように、彼女はイチモツの裏側や袋のあたりを優しく拭う。
「(今度のテスト、勉強しなきゃ……)」
彼女は立ち上がり、ブリーフを上げる。スカートを整え、個室を出て、手洗い場で入念に手を洗う。
鏡に映るのは男子の顔だが、彼女にはそれが『いつもの自分』に見えている。彼女は前髪を指で整え、ニッコリと微笑む。鏡の中の男子も、ぎこちなく微笑んだ。
そして、午後の授業。体育の時間。
今日は水泳だ。真夏の太陽が照りつけるプールサイド。
「着替え終わった奴から準備運動しろー!」
体育教師の太い声が響く。
更衣室での光景は、地獄絵図であり、桃源郷でもあった。
男子更衣室。
そこには、全裸になった『少女』たちがいた。
健太(麻衣の身体)は、学ランを脱ぎ捨て、全裸になっている。
豊かな胸、ピンク色の乳首、白く滑らかな肌、うっすらと産毛のある陰部。
クラスの男子全員が、絶世の美少女や可愛らしい女子の身体を持っている。
彼女たちはタオルを腰に巻くこともなく、堂々と仁王立ちしている。
「おい、誰か俺のパンツ知らね?」
「知るかよ」
胸を揺らしながら、健太はロッカーを探る。見つけたのは、黒いボクサータイプの海パンだ。
彼はそれを履く。
当然、上半身は裸だ。
海パンは腰回りにフィットしているが、上半身には何も身につけていない。
二つの大きな膨らみが、重力に従って揺れている。
「よし、行くか」
彼らは上半身裸のまま、海パン一丁で更衣室を出て行く。
女子更衣室。
こちらでは『少年』たちが着替えをしていた。
麻衣(健太の身体)は、恥ずかしそうに身体を隠しながら着替えている。
彼女が身につけるのは、紺色のスクール水着(ワンピースタイプ)だ。
「(ちょっと太ったかな……キツイ)」
麻衣は身体の硬い男子の肉体を、無理やり水着に押し込んでいる。
肩幅が広すぎて、肩紐が肉に食い込んでいる。
そして何より、股間だ。
スクール水着の股間部分は、男子のイチモツを収納するようには作られていない。
不自然なほどに大きく盛り上がり、亀頭の形がくっきりと浮き出ている。
それでも彼女たちは、それを『恥ずかしい』とは思わず、単に『水着がキツイ』程度にしか感じていない。
「準備できた?」
「うん、行こう」
モッコリとした股間を隠すこともなく、彼らはプールサイドへと向かう。
プールサイドに整列した生徒たち。
先生が号令をかける。
「体操の隊形に開け!」
「「「オゥ!」」」
野太い声を上げるのは、トップレスの美少女集団(男子)。
彼女たちは足を大きく広げ、胸を激しく揺らしながらラジオ体操を始める。
ジャンプのたびに、白いおっぱいが上下左右に暴れ回る。乳輪が露わになり、汗が谷間を伝う。
しかし誰もそれを見ない。いや、見ているが、『男子の平らな胸』として認識しているのだ。
「イッチ、ニッ、サン、シッ!」
剛田(さくらの身体)など、激しくジャンプするあまり、貧乳ながらも小刻みに胸が揺れている。
一方、黄色い声を上げるのは、スク水を着た少年集団(女子)。
「「「はいっ、はいっ」」」
彼女たちは内股で、胸を手で守るようにして(守る胸などないが)体操をしている。
前屈をするたびに、スク水の背中が張り裂けそうになり、お尻のラインが露骨に出る。
そしてジャンプのたびに、股間のモッコリが揺れる。
時折、位置が悪くなったのか、さりげなく水着の上から位置を直す仕草も見えるが、それはあくまで『女子が水着の食い込みを直す』ような、しとやかな手つきだ。
「シャワー浴びろー!」
地獄のシャワーと呼ばれる冷たい水を浴びる。
「うひゃー! つめてー!」
健太たちは頭から水をかぶる。濡れた髪が肌に張り付く。
水滴が胸の膨らみを滑り落ち、ピンク色の乳首から滴り落ちる。
海パン一丁の少女たちが、キャッキャと騒ぐのではなく、野太く「うおー!」と叫びながら水を掛け合っている。
授業本番。クロールの練習だ。
「よーし、次! 高見沢、行け!」
「ウィース!」
健太(麻衣の身体)が飛び込み台に立つ。
その肢体は完璧なプロポーションだ。陽光を浴びて輝く白い肌。
彼は豪快に飛び込んだ。
バシャン! と水しぶきが上がる。
フォームは力任せだが、身体が軽いためか意外と速い。
水の中を進むたびに、水の抵抗を受けた胸が変形し、波を打つ。
プールサイドに上がるとき、彼は両手をついて身体を持ち上げる。
その瞬間、水を含んだ重みで、ただでさえ露出している胸が、重力に引かれて垂れ下がる。
水着を着ていない上半身は、完全に無防備だ。
「っぷはー! 気持ちいいな!」
健太は濡れた髪をかき上げ、胸を揺らしながらプールサイドを歩く。
一方、麻衣(健太の身体)の番。
「白石、行きます」
彼女はプールサイドにちょこんと座り、静かに入水する。
スク水が濡れて、身体にさらに密着する。
水の中を優雅に泳ごうとするが、筋肉質な身体は沈みやすい。
「きゃっ」
水を飲んでしまい、少し溺れかける。
「大丈夫か白石!」
男子(中身女子)たちが心配して声をかける。
それを助けに向かったのは、近くにいた剛田(さくらの身体)だ。
「わりぃ、大丈夫か?」
剛田は麻衣の腕を掴んで引き上げる。
その際、剛田の裸の胸が、麻衣の顔に押し付けられる。
「んぐっ……(柔らかい……?)」
麻衣は一瞬、違和感を覚えたかもしれない。しかし、それはすぐに『剛田くんの大胸筋すごいな』という誤った認識へと変換される。
引き上げられた麻衣は、水を含んで重くなったスク水の股間を気にしながらも、お礼を言う。
「ありがとう、剛田くん」
「おう、気ぃつけろよ」
剛田は男らしく笑い、その胸を揺らした。
授業の終わり、自由時間。
カオスは極まる。
男子たちは騎馬戦を始めた。
土台となるのは、華奢な少女たち(男子)。
上に乗るのは、同じく少女たち(男子)。
「うおらぁ! 崩せ崩せ!」
素肌と素肌がぶつかり合う。柔らかい胸が押し潰され、汗ばんだ肌が擦れ合う。
上に乗った健太は、下の友人の頭を股間で挟んでいる。友人の顔は、健太の海パン、そして太股の感触に包まれている。
「お前重いんだよ!」
「うるせぇ、耐えろ!」
悲鳴を上げるのは剛田(さくらの身体)だ。彼は一番下の土台をやらされている。
小柄な身体に、二人分の体重がかかる。
「ぐぬぬ……こんな重さ、トレーニングに比べれば……!」
彼は震える足で踏ん張る。その華奢な足は今にも折れそうだ。
女子たちはプールサイドで日向ぼっこをしている。
「焼きたくないなぁ……」
「日焼け止め塗ってくるの忘れた」
スク水姿の少年たちは、体育座りをしてお喋りをしている。
その股間には、立派なテントが張られている者もいるが、誰も指摘しない。
むしろ、互いに背中にサンオイルを塗り合ったりしている。
ゴツゴツした背中に、男の手でオイルを塗る。
「あ、そこ気持ちいい」
「凝ってるねぇ」
傍から見ればBL(ボーイズラブ)の現場だが、彼女たちの精神は完全に女子会だ。
終業のチャイムが鳴る。
「上がれー!」
生徒たちはぞろぞろとプールから上がる。
水に濡れた下着のような海パン姿の少女たちと、ピチピチのスク水姿の少年たち。
彼らはタオルで身体を拭きながら、更衣室へと消えていく。
放課後。
部活動の時間だ。
剛田(さくらの身体)は柔道着に着替え、道場へ向かう。
「オス! お願いします!」
彼は小さな身体で、巨漢の部員(中身は女子かもしれないし、男子かもしれない)に立ち向かう。
当然、体格差で投げ飛ばされる。
ドスーン!
「ぐっ……まだだ!」
受け身を取る剛田。その柔道着の襟が乱れ、晒しを巻いていない胸元から素肌が覗く。
汗まみれになりながら、何度も投げられる少女の姿。
しかし剛田の瞳は燃えている。「俺はもっと強くなる!」と。
麻衣(健太の身体)は、手芸部の活動へ。
「今日は刺繍を完成させなきゃ」
彼女は小さな針を持ち、不器用な太い指でチクチクと縫い進める。
時折、指を刺してしまい「あっ」と声を上げる。
「大丈夫? 白石くん」
「うん、平気……」
指を口に含んで血を吸う仕草。それは男子の姿であっても、どこか色っぽさを醸し出していた……かもしれない。
日が暮れて、下校時刻。
健太と麻衣は、昇降口でばったりと出会う。
「あ、高見沢くん。お疲れ様」
「おう、白石。お疲れ」
健太(麻衣の身体)は、靴箱に足を乗せて靴を履き替えようとしている。スカートの中が丸見えだが、本人は気づかない。
麻衣(健太の身体)は、丁寧に上履きを袋にしまっている。
「ねえ、高見沢くん。今日の部活、どうだった?」
「ん? ああ、まあまあだな。そっちは?」
「私も、完成まであともう少しかな」
二人は並んで校門を出る。
夕日に照らされた二つの影。
片や、学ランをだらしなく着た美少女。
片や、セーラー服を窮屈そうに着た少年。
凸凹な二人の会話は噛み合っているようで、その見た目は決定的にズレている。
「じゃあね、また明日」
「おう、またな」
手を振って別れる二人。
健太はガニ股で、麻衣は内股で、それぞれの帰路につく。
彼らが家に帰って、家族とどう接するのか。
そして入浴時、自分の身体をどう認識して洗うのか。
それはまた、別の話である。
(この倒錯した日常は、いつまで続くのだろうか。誰かが気づく日は来るのだろうか。それとも、世界はこのまま固定されてしまうのだろうか……)