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箱庭

5,185 文字 約 11 分

あらすじ

山に囲まれた、滅多に人の来ない村「星見村」。今時にしては珍しく活気があり、そこにいる人々も若い世代が多いように見える。村唯一の学校に生徒たちが通っている様子も見られる。
実際には、その村はアンドロイドを製造している企業の私有地。廃村を買い取り、実験場として整備し直したものである。
そこに暮らす人々は皆アンドロイド。そこでの生活中に何らかの故障が発生した時、その原因を特定し、ハード/ソフトを修正していくことでよりよいモデルを作る。
アンドロイドたちに自分がアンドロイドであるという自覚はない。そのため、企業に関係ない人が訪れても実験場だとわからないようになっている。アンドロイドが監視カメラの役割を担っているので、無関係な人が立ち入ることはほぼ無い。


登場人物

相馬 健一(そうま けんいち)
29歳。大手アンドロイド製造メーカー「アイギス・重工」の開発主任。星見村の管理責任者として現地に駐在している。表向きは村の診療所医師兼、学校の保健医として振る舞う。
優秀なエンジニアだが、倫理観は欠如している。アンドロイドをあくまで「精巧な人形」「肉欲処理も可能な実験体」としてしか見ておらず、彼女たちの感情や生活を観察し、弄ぶことに背徳的な喜びを感じている。

水瀬 遥(みなせ はるか)
推定年齢17歳の設定で作られた最新型アンドロイド(型番:Type-L 704)。
艶やかな黒髪のロングヘア、清楚で整った顔立ち。村の学校に通う高校2年生。
性格は真面目で心優しい優等生タイプとしてプログラムされている。
最近、原因不明の「熱暴走(発情)」エラーが頻発しており、相馬の元を訪れることになる。

本文

 モニターの青白い光が、薄暗い部屋を無機質に照らしている。
 壁一面に設置された数十ものスクリーンには、とある平和な農村の風景が映し出されていた。
 風に揺れる稲穂、畦道を自転車で駆ける制服姿の少女たち、縁側で談笑する老人。
 どこからどう見ても、日本の片田舎にある穏やかな日常の光景だ。
「……平和なもんだな。中身が全員、シリコンと人工筋肉の塊だとは思えない」
 相馬健一は、手元のコーヒーマグを揺らしながら冷笑混じりに呟いた。
 ここは「星見村」。地図上には存在しない、山間部の廃村を利用した巨大な実験場だ。
 ここを管理しているのは、相馬が所属するアイギス重工。次世代型ヒューマノイド・アンドロイドの開発競争で世界をリードする超巨大企業である。
 この村の住人は、相馬を含めたごく少数の管理スタッフを除き、すべてがアンドロイドだった。
 彼らは自分たちが機械であることも、ここが実験場であることも知らない。
 精巧な偽装記憶を植え付けられ、人間としての生活を営むようにプログラムされている。
「しかし、Type-Lシリーズは安定しているな。AIの情緒学習も順調だ」
 相馬はキーボードを叩き、特定の個体の視界映像(ビジョン)をメインモニターに拡大表示する。
 映し出されたのは、学校の放課後の教室だ。
 夕日が差し込む教室で、一人の少女が日直日誌をつけている。
 水瀬遥。最新鋭のType-L 704番機。
 黒髪を耳にかけ、真剣な表情でペンを走らせる横顔は、本物の人間にしか見えない。
 彼女の皮膚は質感、温度、弾力に至るまで人間の皮膚組織を完全に再現した生体素材で作られており、内部には人工血液が循環し、頬を紅潮させることさえ可能だ。
「おっと……バイタルにアラートか?」
 相馬の目の前に、警告を示す赤いウィンドウがポップアップした。
 対象は、今モニターに映っている水瀬遥だ。
『深部体温上昇。心拍数増加。ホルモンバランス異常検知。生殖機能モジュールへの血流過多』
 相馬はニヤリと口角を吊り上げた。
 「またか。704番、最近このエラーが多いな」
 これは故障ではない。
 高度に発達したAIが、思春期の少女特有の身体的・精神的揺らぎをシミュレートする過程で発生する、一種の「バグ」だ。
 感情の高ぶりやストレスが、誤って性的な興奮信号として処理されてしまっているのだ。
「放置しておくと回路が焼き切れる可能性があるな。……メンテナンスが必要だ」
 相馬は白衣を羽織ると、コントロールルームを出た。
 これより先は、管理者としてではなく、村の頼れる「保健の先生」としてのロールプレイの時間だ。

          *

 放課後の保健室には、消毒液の匂いが漂っていた。
 相馬が椅子に座ってカルテ(というのは名目で、実際にはタブレット端末に表示されたステータス画面)を眺めていると、控えめなノックの音が響いた。
「……どうぞ」
「失礼します……」
 扉が開き、水瀬遥が入ってきた。
 彼女の顔は熟れた桃のように赤く、呼吸は少し荒い。額には玉のような汗が浮かび、前髪が張り付いている。
「どうしたんだ、水瀬。顔が赤いぞ」
「はい……あの、相馬先生……。授業中から、なんだか体が熱くて……」
 遥はもじもじとスカートの裾を握りしめた。
 その瞳は潤み、どこか恥ずかしそうに視線を彷徨わせている。
 相馬は内心で舌なめずりをした。
 完璧な演技だ。いや、彼女にとっては演技ではない。自身の体に起きている異常を「風邪」か何かだと思い込んでいるのだ。
「ちょっとこっちへ来て、座りなさい。熱を測ろう」
 相馬は彼女をパイプ椅子に座らせると、非接触型の体温計を彼女の額に向けたふりをした。実際には、彼女の首筋にある極小のQRコードをスキャンし、詳細な内部データを読み取っている。
『内部温度38.5度。膣内潤滑レベル上昇中。クリトリス感度レベル最大』
 データは嘘をつかない。
 彼女の体は今、猛烈に発情している。
「うーん、少し熱があるね。38度越えか。これは辛いだろう」
「はい……。なんだか、お腹の奥がうずうずして……座っているのも落ち着かなくて……」
 遥は潤んだ瞳で相馬を見上げた。
 今の彼女は、自分の体の異変に戸惑う無垢な少女そのものだ。
 その無防備さが、相馬の嗜虐心を煽る。
「これは『自律神経過敏症』の一種かもしれないな。最近、この年頃の子に流行っているんだ」
 相馬はもっともらしい嘘をついた。
 アンドロイドである彼女たちは、管理者である相馬の言葉を疑わないように設定されている。
「自律神経……ですか?」
「ああ。体の奥に熱が溜まって、それが外に出ようとして暴れている状態だ。薬だけじゃ治らない。直接、溜まった”悪い熱”を外に出してやる処置が必要だ」
「処置……?」
 遥が不安そうに首を傾げた。
「少し恥ずかしいかもしれないが、医療行為だからね。先生に任せてくれるかい?」
 相馬は優しく微笑みかけながら、彼女の肩に手を置いた。
 その手つきは医師のものではなく、獲物を品定めする捕食者のそれだったが、遥は気づかない。
「……はい。先生がそう言うなら……お願いします」
 彼女は信頼しきった眼差しで頷いた。
「よし。じゃあ、ベッドに横になって。服を緩めて、リラックスするんだ」
 相馬はベッドのカーテンを閉めきり、密室を作り出した。

 遥は言われるがままにベッドに上がり、ブレザーを脱いだ。
 のぼせた体には衣服の締め付けさえも不快なのか、彼女は自らブラウスのボタンを外し、胸元を広げた。
 白いキャミソール越しに、膨らみ始めた柔らかな乳房が上下しているのが見て取れる。
「ふぅ……あつい……」
 彼女が漏らす吐息は熱っぽく、甘い匂いがするように錯覚させられる。
 相馬は手袋を装着しながら(感染症予防ではなく、指紋を残さないため、そして感触を楽しむための薄手のゴム製だ)、彼女の元へ歩み寄った。
「まずは触診からだ。どこが一番熱いか、先生が確かめてあげるからね」
 相馬の手が、遥の熱を持った肌に触れる。
 人間のそれと全く区別のつかない、吸い付くような肌触り。
 だが、その下にあるのは骨や筋肉を模したカーボンフレームとアクチュエーターだ。
 その倒錯的な事実は、相馬にとって最高のスパイスだった。
「んっ……!」
 相馬の冷たい指先が首筋から鎖骨へ、そして胸の谷間へと滑り降りると、遥はビクリと体を震わせた。
「どうした? 感じるのか?」
「いえ、その……くすぐったくて……でも、なんだか変な感じで……」
「変な感じというのは、気持ちいいということかな?」
「わ、わかりません……でも、先生の手に触れられると、奥がもっと熱くなって……」
 相馬の手は、キャミソールの下へ潜り込んだ。
 直接触れた乳房は、驚くほど柔らかく、そして高熱を帯びていた。
 指先で尖端の突起を強めに摘む。
「あっ、ぅあ……っ!」
 遥の声が裏返った。
 彼女の人工脳内で、刺激が電気信号として処理され、快感パラメータが跳ね上がる。
「ここが硬くなっているな。熱が溜まっている証拠だ」
「んっ、ぁ……! 先生、そこ……だめ……っ!」
「ダメじゃない。治療だ。我慢しなさい」
 相馬は嗜めるような口調で言いながら、さらに執拗に乳首を捏ね回した。
 計算された弾力を持つ人工皮膚の下で、センサーが過敏に反応しているのが手にとるようにわかる。
 遥はシーツを握りしめ、腰をくねらせ始めた。
 無意識のうちに太腿を擦り合わせ、秘部への刺激を求めている仕草だ。
「下の方も、診てみないとね」
 相馬は彼女のスカートのホックに手を掛けた。
 遥は一瞬だけ抵抗するように膝を閉じたが、相馬の「治らないぞ」という視線を受けると、力なく力を抜いた。
 チェック柄のスカートがずり下ろされ、淡いピンク色のショーツが露わになる。
 その股間の部分は、すでに愛液で濃い色に変色していた。
 この「愛液」もまた、性交時の摩擦低減と機体冷却のために分泌される化学合成潤滑液だ。
「すごいな……こんなに濡れている」
「ごめんなさい……汚してしまって……」
 遥は顔を真っ赤にして涙目になっている。
「謝ることはない。これは症状だからね。……失礼するよ」
 相馬はショーツの中に指を滑り込ませた。
 熱く、ぬめる秘裂が指を迎え入れる。
「あぁっ! ……んくっ……!」
 秘部に直接触れられた瞬間、遥は大きく背中を反らせた。
 人間と全く同じ構造で作られたその場所は、相馬の指を吸い込むように収縮し、絡みついてくる。
「すごい吸い付きだ。やはり、相当溜まっているようだね」
 相馬は中指を膣内に挿入し、Gスポットに相当するセンサー集積部位をグリグリと刺激した。
「ひっ、ああっ! 先生、そこ、おかしくなるぅっ! ……熱いの、おかしくなるぅぅっ!」
「おかしくなってもいいんだ。全部吐き出して楽になろう」
 相馬はもう一方の手で、自身のズボンのベルトを解き始めた。
 彼女の治療には、より太く、より硬い「医療器具」が必要だと、彼女自身に理解させる必要がある。

「水瀬、指では届かない深い場所に熱源があるようだ」
 相馬は硬く勃起した自身の肉棒を露出させ、彼女の目の前に突き出した。
 遥は潤んだ瞳でそれを見つめ、驚きと戸惑いの表情を浮かべた。
「そ、それは……」
「特別な治療器具だと思ってくれればいい。これで奥を突いて、熱をかき出すんだ」
「そんな……あんな大きいの、入らない……」
「大丈夫だ。君の体は、それを受け入れられるようにできている」
 いや、そう設計されているのだ。
 相馬は彼女の抵抗を許さず、両足を開かせた。
 濡れそぼった秘裂に亀頭をあてがう。
「量を抜いて。……入れるぞ」
「あっ、や……待ち……」
 ズプッ、と湿った音を立てて、肉棒が彼女の中に侵入していった。
 キツい締め付け。だが、潤滑液のおかげでスムーズに進んでいく。
 遥の膣内は高温で、まるで溶鉱炉の中に突っ込んでいるかのような快感だ。
「あぐっ、あぁぁぁ……っ! おっきい……お腹、いっぱい……っ!」
 根元まで埋め込まれると、遥は苦悶とも快楽ともつかない声を上げて仰け反った。
 相馬は彼女の腰を掴み、ゆっくりとピストン運動を開始した。
「……っ、どうだ? 苦しいか?」
「く、くるしい……けど……すごい、奥まで……当たってる……っ!」
「そうだ、そこに熱が溜まっているんだ。こうして刺激して、散らしてやる」
 ズチュ、ズプッ、パンッ。
 卑猥な水音と肉がぶつかる音が、静かな保健室に響き渡る。
 相馬は腰の動きを徐々に激しくしていった。
 彼女がアンドロイドだという事実は、罪悪感を消し去り、純粋な征服欲だけを増幅させる。
 彼女がどんなに泣き叫ぼうが、壊れることはない。
 もし壊れても、修理すればいい。記憶をリセットすればいい。
 彼女は永遠に処女であり、永遠に俺の玩具なのだ。
「あはっ、あぁっ! 先生、すごいっ、なんか、来るっ、熱いの来るぅぅっ!」
 遥の瞳孔が開き、呼吸が過呼吸気味になる。
 AIが絶頂のシークエンスに入ったのだ。
「出せ! 水瀬、全部出してしまえ!」
 相馬は彼女の胎内を抉るように、激しく腰を打ち付けた。
「いくぅっ! 機械(からだ)が、壊れちゃうぅぅぅ――ッ!!」
 遥は絶叫と共に全身を弓なりに反らせ、激しく痙攣した。
 膣壁が凄まじい力で相馬のペニスを締め付け、大量の愛液が噴き出す。
 その締め付けに耐えきれず、相馬もまた、彼女の最奥に白濁した欲望を解き放った。

          *

 事後の情事の余韻が漂う中、相馬はぐったりと横たわる遥の髪を撫でていた。
 彼女は意識を失っているわけではないが、オーガズムによるシステム負荷で一時的なスリープモードに近い状態になっている。
『エラー要因の解消を確認。ホルモンバランス正常化。学習データ更新完了』
 相馬のスマートウォッチに、管理AIからの通知が届く。
「……ふん、いいデータが取れたな」
 相馬は冷淡に呟くと、ティッシュで自身のモノを拭き取った。
 遥はまだ、頬を赤く染め、幸せそうな寝息を立てている。
 彼女が目覚めれば、「治療のおかげで体が軽くなった」と感謝するだろう。
 そしてまた、エラーが蓄積するたびに此処へ来る。
 この箱庭の中で、彼女たちは知らず知らずのうちに、人間の欲望を満たすための機構(システム)として完成されていくのだ。
「次は誰のメンテナンスをしようか」
 相馬はモニターに映る他の生徒たち――無邪気に笑う次の標的たちを眺めながら、嗜虐的な笑みを深めた。
 この楽園の王は、誰にも邪魔されることなく、退屈凌ぎの実験を続けていく。